H29年最終号



発行:中山保育園
さくらさんの12人のみなさん、ご卒園おめでとうございます。
まず、「健康」が一番大事ですよ。それと、いろいろな事故に遭わないように十分気をつけてくださいね。今日まで5年間、大きな病気もなく元気で卒園できることをみんなに感謝しましょう。4月からそれぞれの小学校で、たくさん遊び、しっかり体を鍛え、一生懸命勉強してほしいと思います。
孫が4人いるあるお父さん(おじいちゃん)が言ってました。
「いくつになっても一番うれしいのは、○○○○○○○○○だ。」
○○にはどんな言葉が入ると思いますか?《*答えは最後に。》
さて、2015,16年は全国の保育園に大きな波がやってきました。どの都道府県の保育士も一斉に波に飲み込まれている状況です。ひとことで言うと「増え続ける待機児童」です。松本市は待機児童はいないのですが、皆が希望する保育園に入れているかというとそうではありません。0から2歳の未満児がどの園でもすごく増えているのです。(全国的にです。)未満児にはたくさんの保育士が必要です。ですからますます保育士が足りなくなっています。それが3歳以上児にも影響し、年長さんなどでは27~29人ぐらいで1名の保育士、というクラスも増えています。(教室の大きさは同じです)また、土曜保育の児童数も早朝から晩まで急激にどの園も増えています。
昨年、一昨年と最終号には同じことを私は書きました。今年も同じことを保護者、ご家族、おじい・おばあちゃん……にうったえたいと思います。
・・・一番思うことは、「子どもにとって、家庭が一番でなければならない」ということです。(保育園ではなく。)「保育園が好き」と言う子はよい子ですが、「家庭」は別格。家に帰るとき、子どもたちの表情は例外なく明るくなります。家族の顔が浮かび、ほっとするのでしょう。
日本という国が、子どもがいる家庭は保護者の仕事時間を半分にするというような国ならば、親子・家族の触れ合いが増えていいのですが、保育時間だけがただ増えていくのは心配です。都会では朝7時から夜8時までの保育園もあります。通園時間、ご飯、お風呂等を引いたら触れ合う時間は1時間ぐらい(?)。12時間以上も保育園にいて、子どもは幸せでしょうか。・・・
1年間ありがとうございました。(荒井保直) *答え:子どもが幸せなこと。
平成29 年3月24日
さくらさんの12人のみなさん、ご卒園おめでとうございます。



発行:中山保育園
平成29年2月28日
H29年3月号
ビデオやスマホはやっぱりあぶない!
ゆめひろば庄内で行われた、「脳科学からみる子どもが舞台芸術に触れる意味」という難しそうな講演会に行ってきました。講師は、韓国のジャッキー・チャンさんという方です。(アクション映画のジャッキー・チェンさんではありません。)彼女は医師であり、神経生理学者、演出家、俳優で、お母さんでもあります。通訳が付いて、いろいろなことを話してくださいました。
テレビ、ビデオ、パソコン、ゲーム、スマホなどが子どもにとっていかに危険なものであるか(大人にとってもですが、)最近急速に進んでいる脳科学からの報告です。保育園でなぜテレビを見せないか(テレビが一台もないか)、納得しました。それらのメディアから発するものは「光」であり、実体ではない。しかし、「光」のほうが人間の脳は強く反応する。子どもはテレビをつけると、すぐその方を向く。「それらのメディアを見続けた人の脳」と「麻薬中毒の人の脳」をスキャンした断面図を見るととても似ているのです。また、スマホを指で早くスクロールしていた子どもが、現実世界はそのスピードで画面が変わることがないので、落ち着かず、多動性が出たり、現実不適応に陥ったりすることもあるそうです。
ちょっと昔の新聞記事ですが、やはり映像メディアというものがあまり効果がない(それどころか、危ない)という記事を紹介します。
《赤ちゃん教育ビデオに効果なし=言語習得遅れる恐れも-米大調査【シリコンバレー2007.8.11時事通信】米ワシントン大学教授らがこのほど発表した研究報告によると、生後8カ月から1年4カ月の赤ちゃんに早期教育ビデオ番組を見せた場合、言語習得が遅れる恐れがあることが分かった。研究に参加したディミトリ・クリスタキス教授は「そうした番組は効果がなく、むしろ有害かもしれない」と警告した。調査は1000人以上の保護者から聞き取り方式で実施。全体の32%が「英才教育」などと宣伝するビデオを赤ちゃんに見せていたが、ビデオを1時間見せるごとに、見せない場合に比べ習得言語数が6~8語少なかったという。》
つまり要は、「親は、『テレビ、ビデオ、パソコン、ゲーム、スマホなど』に、また『他人』にわが子をまかせず、我が子といかに多くの時間をいっしょに過ごすか」ということが大事なんだ、ということだと思います。
* * *
今年をしめくくる「おおきくなった会」が終りました。数日前まで担任たちは、「これではちょっとなあ…」と心配していましたが、本番ではどのクラスもみごとに挽回し、「1年間で皆おおきくなったものだ」と感心しました。
(園長:荒井保直)



発行:中山保育園
平成29年1月31日
「お年玉で買います」 Aくんの成 長
H29年2月号
年長さんのAくんが息せき切ってホールに入ってきました。今日は絵本販売の日。彼は「エルマーのぼうけん3冊セット」を抱えてお母さんのもとへ。「いったいどうしたんだろう?」と私。事情をきくと、どうしてもその3冊セットがほしくて、お母さんに「買っていいか」をきいて、おねだりするのではなく、お年玉を家まで取りに行って、今戻ったところ…なのでした。自分のお年玉で買おうと思ったのです。すごい…。私が「クラスで先生に読んでもらってよほど気に入ったんですね。」と担任の先生におききすると、クラスに置いてあるし、もう3冊ともクラスで全部読んだとのこと。それでもほしいなんてどういうことでしょう。文字をすらすら読めるわけではないのにその本がほしかったんですね。「読めるようになったはら自分で読もう」と思ったのでしょうか。「すばらしい!」と思いました。「エルマーのぼうけん」は小学生になってからの本だと私は思っていたのでびっくりしました。耳から聞いてお話の魅力に引きつけられたんですね。絵本から活字の本への大事な橋をAくんは見事に渡ったのだと思います。これからAくんはどんな本を読んでいくのでしょう。もう大丈夫。楽しみです。
成人の日の雪かき
保護者会の皆さん、ありがとうございます!!
1月8日(日)午後からの20センチ以上降り積もった雪。9日(祝)成人式の朝、多くの皆さんが駆けつけてくださり、雪かきが行われました。10時半からということでしたが、9時半に着いてみると、もう数名の方がやっており、その上大型除雪車も出てくださって保護者駐車場のおおかたは済んでいました。10時過ぎるとそれぞれご自分の家のものと思われる小型除雪車が軽トラにのって3台も到着。大型では届かない細かいところの除雪してくださいました。あとは人の手で通路を翌日雪遊びができるように除雪。集合の10時半にはほぼ終わっている状態でした。「お休みの日にすみませんねえ。」と言うと、「うちの子どもたちが使うんだから当然ですよ。」保護者作業と同じくらい来て下さったのではないでしょうか。自主性もチームワークもすばらしい保護者のみなさんでした。深謝。
(園長:荒井保直)



発行:中山保育園
平成28年12月28日
遊ぶ「時間」と「場所」を子どもたちに!
H29年1月号
遊びをせんとや生れけむ 戯(たはぶ)れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば 我が身さえこそ動(ゆる)がるれ
(訳)遊ぶために生まれて来たのだろうか。戯れるために生まれて来たのだろうか。
遊んでいる子供の声をきいていると、うれしくて私のからださえも動いてしまう。
『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の有名な歌です。聞いたことはありませんか?私はこのうたを読んで、今までは「昔も今も子どもは同じで、遊ぶことが好きなんだなあ」ぐらいにしか思っていませんでした。しかし、保育園に入って、また孫たちを見ていて、「このうたは昔からの真実だ」と思うようになりました。
ほとんどすべてのお子さんは「遊ぶことが大好き」です。いつも遊んでいます。大人(中学生以上かな?)のように「なんにもやりたくない」とか、「ぼーっとしていてため息ばかり」みたいなことは子どもにはありません。よくまあこんなに次から次へと遊ぶんだろうと感心するほど遊びまくります。
先日、孫をつれて例の岡谷のイルフ童話館、安曇野のちひろ美術館にまた行ったのですが、孫たちは、館の中の見なれぬおもちゃや絵本のある遊びのスペース(靴を脱いであがるところ)でずっと遊びまくっていました。どうして次から次へとこんなに遊べるのだろう。そこで浮かんできたのが「遊びをせんとや生れけむ」の歌です。保育園でも同じです。「あれをやろう、これをやろう」と先生が言わなくても子どもはそこにあるもので夢中になって遊ぶんですね。
お子さんをある幼稚園に通わせているお母さんが、その園の子どもたちは「遊ぶ時間がなくてかわいそうです。」とおっしゃっていました。習いごとのようなことをいろいろやっているのだそうです。都会では園庭がなかったり、散歩コースもあまりなかったりする保育園ではリトミック(室内運動)、ダンス(踊り)、楽器、英語など(ばかり)をやっていると聞きます。幼稚園ではさらに、その園の「目玉」の習いごとを決めて園児集めに必死だそうです。習いごとは子どもにとっては「遊び」ではありません。また、多くの家庭ではイベントやテーマパークに休みの日に連れて行くことが今やふつうになっていますが、あれも主体は子どもではなくて、お父さんお母さんのためのものになってはいないでしょうか?子どもたちは、お父さんお母さんとじかに触れ合って遊びたいのだと思います。まず、お正月、昔からの遊びなどでいっしょに遊んでください。日頃も十分に遊ばせましょう。
みんな元気で1年間過ごせました。ありがとうございました。 (園長:荒井保直)



発行:中山保育園
平成28年11月30日
12月はクリスマス=人類のたから
H28年12月号
12月は何といってもクリスマス。私はクリスマスが大好きです。人類が発明したすばらしい行事だと思います。人を清めます。子どもたちの一生の“もと”となるような想像力、温かさ・優しさの根を育てます。それは雪が降る寒いこの季節の夜にやって来ます。今のアメリカはだめになりましたが、古きよき時代のアメリカはよかったのです。毎年この時期になると、クリスマスソングを聴きます。いいものがいっぱいありますが、一つ選べと言われれば、迷わずこれ。“The Christmas Song”1944(Robert Wells/Mel Torme)できまりです。温かいメロディーが最高。温まります。自分と家族をふりかえります。YouTube等で聴いてみてください。詩の内容がシンプルで、生活感があり、庶民的で、すばらしいと思います。
Chestnuts roasting on an open fire 栗の実が暖炉の中ではぜている
Jack Frost nipping at your nose 冷たい霜に鼻先も凍りつく
Yuletide carols being sung by a choir 聖歌隊の歌うクリスマスキャロルが響き
And folks dressed up like Eskimos 人々はエスキモーのように着膨れる
Everybody knows a turkey and some mistletoe 七面鳥とやどりぎが
Helps to make the season bright この季節に華やぎをそえると
Tiny tots with their eyes all aglow おチビさんたちの目はきらきら輝いて
Will find it hard to sleep tonight 今夜はとても寝られない
They know that Santa's on his way 子供達は知っている サンタはもうすぐそこに
He's loaded lots of toys and goodies on his sleigh そりにたくさんのおもちゃとお菓子を積み込んで
And ev'ry mother's child is gonna spy トナカイが本当に空を飛べるのか
To see if reindeer really know how to fly 誰もがこっそり見張っている
And so, I'm offering this simple phrase それだから 1歳から92歳の子供達に
To kids from one to ninety-two この簡単な言葉を贈りましょう
Altho' it's been said many times Many ways; 何度も何度もいろいろに繰り返された言葉だけれど
"Merry Christmas to you" 「メリー・クリスマス」
They know that Santa's on his way 子供達は知っている サンタはもうすぐそこに
He's loaded lots of toys and goodies on his sleigh そりにたくさんのおもちゃとお菓子を積み込んで
And ev'ry mother's child is gonna spy トナカイが本当に空を飛べるのか
To see if reindeer really know how to fly 誰もがこっそり見ようとしている
And so, I'm offereing this simple phrase そこでこの簡単なフレーズを捧げましょう
To kids from one to ninety-two 1歳から92歳の子供達に
Altho' it's been said many times 何度も何度もいろいろな方法で繰り返された
Many ways; Merry Christmas 言葉だけれど メリー・クリスマス
Merry Christmas Merry Christmas to メリー・クリスマス メリー・クリスマス
Jingle Bells, Jingle Bells Jingle all the way ジングルベル ジングルベル リンリンと鈴を鳴らして
H28年11月号



発行:中山保育園
平成28年10月31日
第一になすべきことは・・・
雨で延期になり10月4日になった運動会、ありがとうございました。
各クラスのお便りにあるように様々なドラマがありました。小さい子たちが成長している姿が目に見えてわかりました。負け知らずの子が負けたとき、それを認め受け入れた表情、遅かった子が走り方を工夫したり、猛練習したりして努力して勝ち取った笑顔…そのほとんどは、人生ではじめて知った出来事だったろうと思います。そのような積み重ねがどの子にもあったように思います。成長してますよ。
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未満さんの部屋に入ると、よく「高い高い」をやります。女性保育士だと高く持ち上げるのはちょっと大変だろうと思います。(持ち上げる子が大勢いますから腰を悪くします。)でも男の特権で私は一応全員やります。1回目は泣きそうになる子も、2回3回と上げるうちにどの子も笑顔に変わります。あの浮遊感と落ちてきても支えてくれるという安心感がいいのではないかと思います。一通りやるとすぐ「もういっか~い!!」すごくうれしそうです。(おうちでもやっていますよね?)楽しい、うれしいことがやっぱり一番ですね。
朝日新聞の朝刊の一面に小さなコラムがあります。以前は短歌や俳句が、簡単な説明がついて一日一首(句)つ載っていた欄ですが、今は哲学者の鷲田清一(わしだきよかず)さんの「折々のことば」というのが載っています。ちょっと前のものですがこんなのが・・・・
『教育において第一になすべきことは、道徳を教えることではなく、
人生が楽しいということを体に覚え込ませてやることなのである。(永井均)
生きる理由がうまく見つけられない人に、人生が生きるに値するものだと
納得させるのは難しい。生きることは楽しいという肯定感が底にないと、
自分の人生をしかと肯定できない。だから子どもに不幸な傷があっても、
それ以上に楽しい経験をまわりが与えつづけること。ルールを教えるのは
その後だ。 永井均著「これがニーチェだ」(講談社現代新書)の言葉
(折々のことば 43 2015年5月14日朝刊)』
いかがですか?私は保育園でも幼稚園でも小学校でも中学でも…「子どもたちが人生が楽しいと思うこと」これが根本だと思っています。
(園長:荒井保直)


