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平成30年3月23日

発行:中山保育園

最終号

19名のさくらさん、ご卒園おめでとうございます

 ご家族の皆さん、おめでとうございます。

地域の皆さんありがとうございました。 

 3つの小学校にバトンタッチします。ありがとうございました。

「ほほえみと笑い声のたえない楽しく愉快な家庭・家族」を!

 

 さて、4年前、私は「保育園」と言う“新世界”によんでいただきました。4年間いろいろ見させていただき、たくさん学ばせていただきました。保育園がどういうもので、どんな立場におかれているかを細かなところまで知り、体験することができました。3年前から保育園は変わりはじめました。それ以後、現在に至るまで急激に変化しています。保育をめぐる制度も、お父さんお母さんも・・・。良い方に変わってきているならいいのですが・・・・。

 

 みなさんへのメッセージはただ一つ。「ほほえみと笑い声のたえない楽しく愉快な家庭・家族」を作ってくださいということ。それは子どもが作るものではありません。親が作るものです。そして、そのときの親の姿を見て、子どもたちは将来、それをまねして新しい家族を作るのです。そうなるためには、どれだけ小さい時代にお子さんと一緒にいてやれるかだと思います。生まれてからの6年間(特に0,1,2)を大事にしてください。小、中、高となっていくにつれ、自然と子どもたちは親から離れていきます。わが子を丸ごと肯定し、守ってあげられるのは、親しかできないことです。子育て以上に価値ある仕事はありません。お父さんお母さん、1分でも多く子どもたちと一緒にいてください。人間にとって親子・家族はかけがえのないものです。

◎おまけ・・・

 以前にもお話しましたが、私は孫がかわいくてしょうがありません。育てている我が娘や息子を見て、「いいなあ。楽しんでるなあ。あいつらジジババにみせびらかしているな。」と思い、うらやましくてしょうがないのです。なんだかわけのわからない遊びを、ひとりごとをいいながら一生懸命遊んでいる姿、「じいじ?あのねえ」などといいながら質問してくるあの感じ、「絵本読むよ」というと走って来て、おしりから膝に腰掛けるあのとき、だっこしながら寝てしまったときのあのやさしい重さ・・・・・保護者のみなさんはいいなあ、うらやましいなあと思います。「この子がいて幸せと思えることの大切さ」をかみしめてくださいね。それではお元気で。

                                                        (園長 荒井保直)

最終号

平成30年2月28日

発行:中山保育園

​H30年3月号

わが子は親が守る。誰かが守ってはくれない。

◆全家庭が集まって、全子どもたちを見守る中山保育園の「おおきくなった会」、ありがとうございました。

 大きな成長をお家の方はお気づきになりましたか?短時間でしたが、大きな成長が見られた子どもが何人もいました。

◆さて、私の4年間のまとめ その①を2月号に載せました。まとめると“子どもの心を満たしてくれるのは保育士ではなく親である。”

 ということです。

 

 今回はまとめ その②です。今回の結論を先に言うと、“わが子は親が守る。誰かが守ってはくれない。”ということです。

 

何か冷たい言葉のように思われるかもしれませんが、私の実感です。ともすれば、最近の私たち(現代の日本人)は「これは園が、学校が、行政(市や県や国が)がやってくれるはず。」というような安心感(あるいは権利意識、あるいは他人任せ)を持ちがちです。確かにある程度はやってはくれるかもしれませんが、最終的には「わが子は、私が、私の考えで守る」という信念がなければ、今や子どもは守りきれません。世の中や他人のせいにして文句を言ったところで、実際被害を受けるのは子どもたちです。

たとえば、人間が生きていく上で最も大事な「食」について考えてみましょう。「給食」は栄養バランス、アレルギー、衛生面等いろいろ考えて作られていますが、三食のうちの一食にすぎません。ほとんどはおうちの「食」です。調理法、栄養バランス、危ない食品は使わない・・・等は親の責任で子どもに食べさせているわけです。毎日体に入るものですから、一生のうちに食べ物によって(親によって)、体に違いが出てくるのは当たり前ですよね。何が良い食べ物か危険な食べ物か、を親が自身で調べる。証明できなくて、も怪しかったら食べさせない。わからなかったら、よりましな方(ベター)を選ぶ。それが本当の愛情です。食品に「国産」と書いてあれば安心ですか?今やそんなことが安全である証拠にはなりません。どの県産(どこ産)とか書いてあるもののほうを選ぶべきでしょう。こういう判断は親の責任です。これらは、数字であるいは科学的に証明されるということはまず困難でしょう。

子どもは自分では自分を守れません。親が自分の価値観を持ち、いろいろなものから守ってやらなければと思います。

◆卒園式は一年生になる19人のためだけのものではありません。1つ進級する41人のこれからを祝い、すばらしいものにしてほしいです。

 全保護者のみなさん、3月23日、よろしくお願いいたします。 

                                                      (園長:荒井保直)

3003
3002

平成30年1月31日

発行:中山保育園

​H30年2月号

子どもの心を満たしてくれるのは保育士ではなく…

 私がこの保育園に来て4年が過ぎます。最初の卒園児が4月から4年生。早いものです。4年間のまとめを2月号、3月号で述べてみたいと思います。

4年前、保育園の現場に入った1年目。ほとんどが初めてのことばかりで目が回るほどでした。しかし、2年目。今度は「去年とこんなに変わったの?」というまたしても忙しい毎日でした。制度が変わったのです。「保育園落ちた…」のブログから、「待機児童問題」「保育士の待遇」等の報道が盛んに行われるようになりました。

なぜ「待機児童」が増えるのか?0,1,2歳児(いわゆる未満児)を預ける方が急激に増えたからです。政府が「女性もどんどん働きなさい。保育料は安くして、保育園はどんどん作るから。」と言ったためか、われ先にと親は保育園に押しかけました。「小さい時から入らないと3歳からじゃ入れないよ。」などとも言われたようです。なんと11時間の保育が「標準」、8時間が「短時間」と呼ばれることになりました。親と一緒に過ごす時間と保育園で過ごす時間がほぼ逆転しました。

制度が変わって2年、3年経ちました。残念ながら「親と子の間(つながり)が弱く(うすく)なってきた」という感想を私はもちます。

 ある保育園の園長先生のおたよりを引用します。

“「保育園では、お友達もいていっぱい遊べて、先生も絵本を読んでくれていい。」と思っている保護者の方もいるかもしれませんが、違います。子どもは保育園より家が好きなのです。親の側に勝る所はないのです。

 延長保育でも、子どもたちはドアが開くたびに、「こんどはわたしかな?」と待っています。「さみしい」とか「がまんしてる」と子どもは口に出しません。でも、親が一生懸命、必死に働いているのか、「預けた方が楽、預けないと損」と思って預けられているのか子どもはちゃんとわかっています。リフレッシュも大事です。自分の時間も大事にしてください。でも、息せき切って迎えに来て、お子さんを抱きしめてくれる親の姿を見ると、「この子は大丈夫。親に愛されている」と保育士は安心するのです。

 子どもの心を満たしてくれるのは保育士ではなく親なのです。”   私もまったくこの園長先生の意見に同感です。   

                                                       (園長:荒井保直)

平成29年12月28日

発行:中山保育園

​H30年1月号

『保育園にいると、なるほどなあと、すごく納得できるお話』

 2017年もあと3日となりました。60人全員、無事年を越せそうでなによりです。私は保育園4年目になりますが、今年もいろいろ勉強させていただきました。今回は、以前ご紹介した佐々木正美先生の文章です。とても大事なお話だと思いますのでお読みください。

  (佐々木正美「母子分離」より引用)

━━━『ウィニコットという英国の児童精神科医は入念な観察による研究で,乳幼児期の親子関係の意味を解明しました。そして「幼い子どもにとって『母子分離』というものはない。あるのは『母子分離への恐れ』だけである」と解き明かしたのです。幼い子どもは母親の仕事など,いろいろな理由によって母親から引き離されます。この時,子どもの心の中には、何がどのように起こっているのでしょうか。ウィニコットは次のように説明しています。

 お母さんが自分に向けてくれる愛情に安心し,満足するに従って,子どもは母親との関係の中に「自分は本当に愛され,保護されている」という実感,いわば「安全感」を抱きます。その安全感をもとにして,子どもは自分の心の中に「安全空間」ともいうべき気持ちをつくります。自分の心の中の安全空間を持ち歩くようにして,子どもは母親から離れていることができる━というのです。

毎朝,保育園で,母親から保育者に引き渡される時,必ず大泣きする子どもがいます。ちょっと見た目には、子どもはお母さんが大好きだから「離れたくない」と言っているように見えるのですが,ウィニコットが説くところは,必ずしもそれだけではないのです。本当は母親の愛情にまだ満足や安心ができないで苦しんでいる━という理解の方が正しいというのです。そのことを保育者は容易に理解できるようです。なぜかというと,毎朝母親から引き離される時に抵抗し続ける子どもは,母親が迎えに来た時,すぐに飛んでいくかというと,必ずしもそうではないことが多いからです。むしろ何かのがん具でぐずぐず遊んだりして,玄関で待つ母親をイライラさせることが多いのです。朝,母親からさっと離れる子どもの方が,母親が迎えに来るのを心待ちにしている━ということを,保育者はよく知っています。

 私は保育者との定期的な勉強会を続けて30年ほどたちました。その中ではっきり教えられたのは,朝の母子分離と夕刻の再会に見られる親子の情景が,その後、子どもがどのような少年期・青年期を迎えるかについて,多くの示唆を与えてくれる、ということでした。』━━━                                                  (園長:荒井保直)

3001

平成29年11月30日

発行:中山保育園

​H29年12月号

『産多苦労須』(*12月号は子供達に読まれないよう妙な漢字を使用。ご了承下さい。)

 いよいよ12月。「栗巣枡」ですね。私は毎年あの音楽が聞こえ始めるとうきうきします。車でも「栗巣枡」音楽ばっかり流しています。(去年の「ふきぼこ」12月号を読んでください。)10月はどこへ行っても「波浪印」のオレンジ色で大騒ぎでしたが、本命はやはり12月「栗巣枡」ですよね。日本では、仏教だって神道だって何だって関係なく「栗巣枡」をやっています。

 

 この「栗巣枡」や「産多苦労須」の大事なところは、「目に見えないものを信じる」ということだと思います。人生の中で、目には見えないけれど大切なものがある、という真理をどこで子どもたちに教えますか?

 

 私の長男がたしか年長の頃の雪が降った「栗巣枡」の日、園から帰って、

「お父さん、産多苦労須ってほんとにいたよ。」

「えっ、見たの?」(園では見ているはずですが…)

「幼稚園の庭に産多さんの足跡と橇の跡が残っていたんだよ。橇が途中で消えてるから空に登って行ったみたい。トナカイの糞も先生が見つけたんだよ。」

「ええっ、ほんとに?すごいじゃん!」

園の先生方の苦労と熱意に感服しました。

大人(親)は、どのくらい長く「産多苦労須」の存在を保てるか、その力があるかないかが重要です。「産多苦労須なんていないよ。それは・・・」なんて言う園児もいますが、早くから心の芽を摘まれた悲しい園児だと思い、私は顔を見てしまいます。不幸な親子だと思います。

 

 朝目が覚めると、枕もとに置いてあるほしかったもの。それが目の前にある。あのうれしかった気持ち。お誕生日のプレゼントとはまったく違いますよね。あの気持ちが味わえなかった子がいたとしたら、本当にかわいそう。この「栗巣枡」という仕組みを考えた人はノーベル賞以上だと思います。長野県外(特に都会方面)では毎年24日はほぼ冬休みに入っていますが、私は12月24、25は祝日にしてほしいと思います。みんなが子どもたちの輝く瞳を見つめあう祝日に。子どもたちは家族の笑顔を見て大きく育ちます。

 懐かしいあの頃からはや30年。我が家の子どもたちはまだ「産多さんが来る」と言っております。「信じなくなったその日からプレゼントは来なくなる」と固く言ってあるからでしょうか。      

                                                   (園長:荒井保直)

2912

平成29年10月27日

発行:中山保育園

​H29年11月号

『あいちゃくしょうがい』

 ほぼ1か月たちましたが、今年もすばらしい運動会ができました。芝の緑と空の青と白い流れる雲、それに暖かな太陽、子どもたちの真剣な眼差し、家族の笑顔、地域の皆さんの笑顔・・・。「幸せ」そして、「平和」。

                           ☆  ★  ☆

 さて、私の知り合いのおばあさんは孫に会うなり、「○○ちゃん、大好き ぎゅっ ぎゅっ」とハグしまくり・・・孫も応じて「おばあちゃん、大好き ぎゅっ ぎゅっ」。親戚、また近所の子どもたちにも「○○ちゃん、大好き ぎゅっ ぎゅっ」・・・

それを見て、「親ならともかく、そこまでやらなくても・・・」と私は思っていたのですが、この頃「愛着障がい(あいちゃくしょうがい)」という言葉を聞いて、ああ、このことと関連があるのかなあと思うようになりました。

 この障がいは、小さい頃に得るはずだった愛情を十分に得られなかった人に出てくる障がいで、この愛着障がいは精神疾患や犯罪等にまでつながっていることがわかってきたのだそうです。愛情が十分に注がれない親子関係にはいくつものパターンありますが、必ずしも虐待や育児放棄されたといったはっきり原因がある場合だけではなく、皆そろっていて、特に問題なく育てられたように見える場合でも出てくることがあるそうです。「愛情不足」とよく言いますが、保育園でも学校でも「愛情不足だな」というお子さんを最近はよく見ます。

 (保護者の方に「愛情不足ですね」などと言えませんが。)

 先日、育児と絵本についてのエッセイを読んで、その名の通り『だいすき ぎゅっ ぎゅっ』と言う本を知りました。うさぎの親子が、朝ごはん食べたあと、ぎゅっ!絵本を読んだあと、ぎゅっ!おさんぽしたあと、ぎゅっ!おかあさんがぼうやを何度もぎゅっと抱きしめるのです。子どもに読み聞かせながら、途中に出てくる「ぎゅっ」というところで、実際に抱きしめると、子どもは親の愛情を感じ、安心すると思いました。例の知り合いのおばあさんは「何しろ、ぎゅっとすること。小6まではOKですよ。」と言っています。この本を読みながら、父・母・じじ・ばば、みんなでぎゅっとしたいです。大きくなったらだめでしょう。小さいうち(今)からでないとだめでしょう。

 ◎『だいすき ぎゅっ ぎゅっ』(TIME for a HUG)

 作:フィリス・ゲイシャイトー/ミム・グリーン 絵:デイヴィッド・ウォーカー 訳:福本友美子 岩崎書店 1188円 2012.12.10初版  

                                                      (園長:荒井保直)

2911

平成29年9月29日

発行:中山保育園

​H29年10月号

『はじまりは愛着から』

 学校にいた時、ある養護教諭(保健室の先生)に「先生、この本知っていますか?」と言われたのが、佐々木正美先生の「子どもへのまなざし」(1998)というぶ厚い本でした。佐々木先生(男性です)は、乳幼児から青少年までを半世紀の間診察し続けた児童精神科医です。いろいろなことをおっしゃっているのですが、○子どもが望むことはできるかぎり満たしてあげる。○子どもが何かができたときはいっしょに喜んであげる。不安なときや悲しいときは気持ちをわかちあい、いっしょに聞いてあげる、悲しんであげる。○子どもの周りの人たちとの関係をつくる。…というようなことをおっしゃっています。たとえば、「泣いているからといってすぐ抱っこするのはよくない」という意見に対し、「泣いたら抱っこしていい」と言うのが佐々木先生。小学生になっても「お母さんのところに来てくれてありがとう」とハグ…。

 その佐々木先生が今年の6月に亡くなりました。9月に先生の最後の本が出るということで、最後にどんなメッセージを残したのか気になっていました。『はじまりは愛着から---人を信じ、自分を信じる子どもに』福音館書店(900円)です。最後のタイトルに「愛着」と言う言葉が入りました。そうか、先生はそれをずっと大事に考えていたのか。

『人間は、人を信じることができて、はじめて自分を信じることができます。そして、自分を信じることが生きる力になります。それには、赤ちゃんのときからお母さんをどれくらい信じられるかが重要になるのです。 暖かな人間関係の中でこそ、人間は生きていることを実感できます。 育児の基本は、子どもがその一生をとおして、よい人間関係を持ちつづけられるように育てることです。 よい人間関係を失ってしまうことがないように生きていけたら、健康で幸福な一生を過ごせます。 ですから、子どもたちを一生懸命かわいがって育ててください。どんなときにも愛してください。子どもは愛されることで、人を信じ、自分を信じられるようになります。』

(『はじまりは愛着から--人を信じ、自分を信じる子どもに』あとがき から)

 つまり、子どもは幼い頃に親から無条件に、充分に愛されるという実感を基盤に、母親との間で育まれた愛着形成から、自分と相手を信じることができ、人間関係を円滑に進められるようになっていく、ということです。

 さて、30日は運動会です。ビデオやカメラでなく、お父さんお母さんのまなざしで(眼で)子どもたちの成長を見てください。運動会のあとのハグ、励ましの言葉もお忘れなく。ついに金木犀の花が咲きました。                      (荒井保直)

2910

平成29年8月31日

発行:中山保育園

​H29年9月号

NHK朝の連ドラ「ひよっこ」を見て思う

 テレビ番組を毎日自動で録画できるようになってから、NHKの朝の連ドラを毎日見ています。現在は「ひよっこ」です。毎朝7:30からのを録画しておき、園から帰って夕飯どきにそれを見ています。

 ちょっと昔の茨城の農村の一家族のお話です。東京へ出稼ぎの父親が突然行方不明になり、探しに娘(ヒロイン:有村架純=米澤美佳先生そっくりさん)が上京し、家電の工場に就職します。友だちもでき、落ち着いたと思った矢先、その会社が倒産。その後、いろいろな縁で彼女は赤坂の洋食レストランのウエイトレスになります。現在はそれから2年半後、お父さんが見つかった、というところまで来ています。

 最初の頃は視聴率が今までの連ドラに比べて低く、心配されていましたが、ここのところ週間の視聴率23%超えで1位を続けています。作者の岡田恵和さんが一話(15分)ごと「一話入魂」で書いているそうです。

 字幕で見ていると、けっこういいセリフを発見します。私が気に入ったのは、「親と縁を切って君と一緒になる!」という恋人(彼氏)に、主人公は「親を捨てて一緒になる、などと言う人と私は一緒にはなれない」と涙ながらに言うセリフです。(そのとおりだと思いませんか?)

 さて、私がこの連ドラを見ていて気づいたのは、物語には「生まれ故郷の茨城の故郷の人たち」、「最初に勤めた会社の上司・同僚」、「レストランとその周りの商店街の人々」、「主人公の下宿に一緒にいる人たち」…などたくさんの人たちが出てくるのですが、みんながあったかい、ということです。登場する誰もがそれぞれ目立った性格(つよいくせ)はあるものの、お互いに相手の気持ちを察し、(一見無関心を装っていても)相手のことを親身になって考え、心配し、応援するのです。いいこと・うれしいことがあったときは一緒になって喜び、悲しいことがあったときは一緒に泣く…という感じなのです。「おはなし」なのだから・・・そう言ってしまえばそうなのですが、何かこの「あたたかさ」いいなあと思うのです。ふりかえって、私自身こんなにあたたかく、親身になって人に接しているか?と考えるとぜんぜんダメだと思うのです。四方八方からひとりひとりが、あたたかさと親身さで守られている「ひよっこ」の世界。こういう世界をつくっていきたいなあと思います。みなさん!!自分の家族はもちろんですが、この世界を自分の身近(中山保育園ファミリーの世界)からつくっていきましょう。

                                                       (園長:荒井保直)

2909

平成29年7月31日

発行:中山保育園

​H29年8月号  

​何を読むか? どう読むか?  

 毎年4,5月に絵本についてお話していますが今年はなかったので夏休みに入る今回お送りします。

 

①心ゆたかなよい子を育てるのにはいろいろな方法がある。情操教育。

  音楽をきく、絵をみる・かく、踊りをおどる、スポーツをする、身近な大自然に接する…いろいろなアプローチがあるが、

  絵本は誰でもできる、一番早い方法。

②絵本を子どもに渡して、読みなさいではなく、親が膝の上で読んでやること。

  じじばば、保育士、お話の会等もできるが、「親(父母とも)」が最も大事

0,1,2歳児でもじゅうぶんな反応がある。この時期が最も大事かも。

えほんのきほん  何を読むか? どう読むか?

日本の子どもの学力低下⇒考える力の低下

子どもの思考力(考える力)を上げるには2つの力が必要

  ①「言語(言葉)の能力」 ②「遊びの能力」

   ①を上げるには・・・よい絵本を読んでやる

   ②を上げるには・・・たくさん遊ばせる

    ・市販の「動く」「鳴る」「光る」おもちゃではなく、

    ・自分で「動かす」「しゃべる」「想像する」おもちゃを。

    ・自然の中で、これでもかというまでとことん遊ばせる。

 絵本は大人が読んでやる本である

   ・言葉を耳から聴き、絵を「読む」ということ

   ・生後6~7カ月からわかる

   ・ぜひ寝る前に2冊以上を

   ・小学生2年生くらいまでは読んでやる

   ・読み書きの前に「聞く」「話す」が大事

 ○読むときの大事なポイント

   ①読み手のまたの間にいれる

   ②ふつうの声で読む。(声色、抑揚、大声はNG)

   ③表紙から裏表紙までみせる。

   ④書いてあるとおりに読む(話を変えるのはNG)

   ⑤子どもに質問をしない(これ何?どんなこと?はNG)

   ⑥感想をきかない。(どうだった?おもしろかった?はNG)

 どんな絵本を選べばいいか?

​   ①長い間出版され続けている本

    ・第何版かを本の後ろで見る。 版の多いものはベストセラー

   ②絵本リスト、書評に出ている本

    ・売りたい目的のリストはかたよりがちなので注意。

    ・全国学校図書館協議会の「よい絵本」はお勧め。

​      ※本年度は第27回「よい絵本」(毎年7月に改訂)

    ・書評は話題性。新刊が中心で書評が分かれることも。

   ③信頼できる出版社の月刊の絵本

    ・評価の高いもの、新しいものがまじっていておもしろい。

    ・本屋さんが行っている月ごとの定期販売もある。

   ④保育士の先生にきく。(これもおススメ)

​ たった一冊の絵本の積み重ねが、子どもたちの心と頭をそだてますよ。

​                            (荒井保直)

2908

平成29年6月30日

発行:中山保育園

​H29年7月号

ちーがーうだろーっ!・・・・

先日、42歳の女性の国会議員が、55歳の自身の男性秘書に・・・という話が表に出ました。みなさん、声を聞きましたよね。

「お前、頭がオカシイよ!」「このハゲー!」「ちーがーう(違う)だろーーっ!」(ボコッという打撲音)/

(ミュージカル調で歌って)「そんなつもりはなかったんです~」「お前の娘を轢き殺されても、そんなつもりじゃなかったです~って言ってみろ~~」

本当にこんな人がいるのかとびっくりしました。(こんなのしょっちゅうだと言っている議員もいてまたびっくり。)年上の人に「お前!」ですよ。殴る・蹴る・ハンガーで叩くといったことまでやっているようで、言葉だけではないのです。私は子どもたちに「年上の人には(どんな人であろうと)ちゃんとした言葉づかいをするんだよ」を教えてきました(失礼な態度もいけないよと)。教えなくても3歳以上ならだいたいわかります。おうちでも教えていますよね。この国会議員の家はどうなっていたのでしょう。名門女子高、東大、ハーバード大卒だそうですが・・・(学歴ってこんなもんです。)

しょっちゅういろいろしでかす子どもたち。でも、保育園の先生たちはわけへだてなく接し、優しいなあ、と園長の私はいつも思います。また、先日わざと聞こえないふりをして何度も同じことをくりかえす子に「○○ちゃん、やってはいけないと先生は何度も言いましたよ。」と毅然と諭している先生を見て、しっかりしているなあと感心しました。これからプール(水遊び)がはじまりますが、遊びの約束を守らない子がいると先生たちは即、プールからその子を抱き上げて外へ出してしまいます。これもすごい迫力です。

子どもたちは「やってはいけないこと」、「約束は守ること」、「危険なことなのでやってはいけないこと」、「正しいこと」、「うそはいけないこと」…つまり「人の道」、「正義」、「道徳」みたいなものを学んでいるわけですね。

一部の大人(国会議員とか官僚とか)の話題が毎日聞こえてきます。

ほとんどわかっていることについて平然とうそをつく。知っているだろうということを「知らない、関係ない」としらを切る。「しゃべったら処分するぞ」と脅す。ごまかせばそのうち国民は忘れるからと思っているようです。…そういう人たちが子どもに道徳が必要だ、なんて言っているのですから。

家庭も園も「ああなってはいけない」と自戒し、どんなことがあろうと、「人の道」を踏み外さない子どもたちを育てたいと思います。(園長:荒井保直)

2907

平成29年5月31日

発行:中山保育園

​H29年6月号

保育園の民営化(民間委託)」って何?!

松本市は43園が松本市立の保育園です。みなさんは保育園はほとんどが公立ではないかと思っていませんか?違うんです。松本市は公立43園、私立5園ですが<認定こども園は4園>、長野市は公立38園、私立は最近3園増えて44園。私立が多く、公立38園の中で5園は公設民営(指定管理、運営委託等)になりました。

なぜ民営化(民間委託)するのでしょうか?一言で言えば、「安く済む」からです。園の運営経費が安く済めば、市町村はそうするでしょう。しかし、「安く済む」でしょうか?「保育の質」を問わなければ可能かもしれません。最初は「今までと変わりませんよ」と言って、同じサービスを続け、目立たないようにするでしょうが、民間になるわけですから、そのうちに無駄(?)と思われることを細かく削って、合理化をすすめるでしょう。もちろんいいこともあるでしょうが、ほとんどが「えっ~」ということになると思います。例えばまず確実なのは、給食は弁当業者になり、いろいろなサービスが有料になり、最初は個人持ちの小物等からでしょうが保護者負担が増加していくだろうと思われます。一番心配するのは「保育園が若い保育士ばかりになるだろう」ということです。20、30、40、50代といろいろな年代が揃っている保育園が何かにつけて一番良いそうですが、都市部では現に20代の若い保育士ばかりの園が増えているそうです。経営者とすれば若年労働者の方が賃金も安くて済むわけですからそうするでしょう。そうなると一言で言えば「保育の質」が低下するだろうと言われています。ですので松本市は経費はかかっても公立を維持していくという方針でやっているのです。しかし、公立を維持している全国の市町村でも保育士の6~7割を非正規労働者(保育士)にしてきており、若くても経験者でも安価な賃金で抑えようとしているのが現状です。(これを「隠れた民営化)」と言っています。)

松本市の保育で素晴らしいのは「給食」です。センターではなく自園で、温かく冷めていない手作りの給食です。これも民営化で真っ先になくなるものと思われます。おやつも手作りで、親も作らないようなおやつを提供しています。また、災害時に松本では50近い幼稚園保育園で炊き出しが可能です。(小中学校はセンター給食なので2か所のみ。)

たいがいは自分の子どもたちが卒園すれば関心が薄くなり、「どちらでもいい」になりがちです。孫世代、そのまた子、孫まで考えて、少なくとも現在松本市の保育園に入れている皆さんはこの体制の維持と充実に支持、支援をお願いしたいと思うのです。子どものことを真っ先に考えるのが「大人」です。(園長:荒井保直)

2906

平成29年4月28日

発行:中山保育園

​H29年5月号

最高にうれしいこと。何という喜び!

あわただしく1か月たち、もう連休ですが、みなさんいかがですか?

新しく入園されたおうちの方はお疲れになったことでしょう。でも疲れていても、子どもはかわいいですよねえ。

連休になると我が家にも孫が来ます。私は待ちどおしくて待ちどおしくて…。「目に入れても痛くない」という言い方もよくわかります。我が子達は「勝ち誇ったように」孫を見せびらかします。それがうらやましくてうらやましくて…。一緒に住んでいないからそう思うのでしょうという方もおられますが、我が妻などはひさしぶりの孫でも、「○○ちゃん(くん)、だいすき!」などと抱きしめています。抱きしめると子どもはよくなりますね。「ばあば(じいじ)?…」などと質問(要望)などをしてきます。そんな時が最高にうれしいですね。また、自分で絵本を選んで持って来て、私の膝の上におしりをのせて、「じいじ?これ読んで。」などと言ってくるのです。何という喜び!!

○「親子の触れ合い」というけれど・・・一番の触れ合いは?

「親子の触れ合いが大切」なんてよく言いますが、「触れ合い」とはなんでしょう?さわったり、抱いたり、「高い高い」したりすることはもちろん触れ合いですが、それだけではだめですよね。休みに遊園地や動物園や水族館、テーマパーク、○○ランドに行く、また野山や海川に行くことなども触れ合いでしょうが、もっと日常的な、普通のことが私は大事だと思うのです。

一緒にお風呂に入るとか、一緒にご飯を食べるとか、膝の上にのせて絵本を読むとか……夕方のお風呂は間に合わないおとうさんが大多数でしょうから、やはり「毎日、習慣として絵本を読む」のが私はベストの「触れ合い」だと思います。絵本はまだちょっと早いかなというお子さんでも、保育園で1歳半ぐらいになれば絵本にじゅうぶん反応します。絵本を読んだからすぐ頭がよくなる、成績が上がるというものではありません。(測定はできないでしょう。)でも、見えないすばらしい力として子どもたちに沁みこんでいくと思うのです。読み手はお父さんでもお母さんでも、おじいちゃんでもおばあちゃんでも……兄姉でもいいと思います。

絵本の読み聞かせができたら、子どもたちが寝るとき、お父さんお母さん(おじいちゃんおばあちゃん)による枕もとでの「声だけのお話」のレベルまでいければいいなあと思っています。(いつの日か)   (園長:荒井保直)

2905

平成29年4月5日

発行:中山保育園

​H29年4月号

ご入園おめでとうございます。ここはすばらしい保育園です。

今日から平成29年度中山保育園が始まります。今日現在、児童数59名。小さいけれど、中山保育園は自然に恵まれたすばらしい保育園です。職員は、園長1名、保育士7名、調理員2名、それにパートの保育士と調理員数名、シルバーサポーター1名です。また、松本市はもとより、中山公民館・出張所、中山文庫、中山考古館、小中学校(中山小,並柳小,寿小,明善小,開成中,筑摩野中,明善中)、中山児童センター、JA中山・寿農協、花木の会、その他地域のボランティアの方々等々、中山の地域の多くのみなさんの物心両面での援助・支援で中山保育園は成り立っています。伝統ある中山保育園保護者会のバックアップも強力です。1年間よろしくお願いいたします。

0から5歳までの時間は、「人間の土台づくり」をする、一生の中で最も重要な5年間だと思います。「親の愛」が必要です。

 

保護者のみなさんにとりあえずお願いしたいことが5つあります。

  • 一つ目はテレビ、パソコン、ゲーム、タブレット、スマホ等のメディアが子どもたちに与える危険な影響についてです。まずとりあえず、緊急措置として、それらから子どもたちを遠ざけましょう。「見せる、使わせる」をやめましょう。(詳細は昨年度の「ふきぼこ」参照)

  • 二つ目は子どもたちの食べもの。冷凍食品の多い食事、インスタント食品、安易な外食もの、危ない食材(農薬・薬品、放射性物質)など、ご家庭の「食」をふりかえり、改善しましょう。「食」は生きる基本です。

  • 三つ目は子どもたちの心を作り、考える力をアップするためにどうしたらよいかということです。「絵本」をいっしょに読んでください。寝る前に1冊か2冊。忙しくても親子の触れ合いのまたとないチャンスです。いっしょに遊び、読んでやる。同じ本を何回も、でよいのです。

  • 体調がよくなかったら休ませましょう。伝染し、友だちにうつることもあります。保育園は学校のように「学級閉鎖」はないのでうつりやすいのです。また、お休みの連絡はわかりしだい、早めにお願いします。

  • 最後は「事故」の心配です。特に、保育園の駐車場での事故(親がおしゃべり中のとき等)が心配です。最近、「小1の交通事故死増加」というニュースが頻繁です。一方通行の下り坂の一時停止もお気を付け下さい。

                                               (園長:荒井保直)

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